海の向こうを見渡してみれば、こんなに違う!妊娠、出産、育児事情。
各国で暮らす日本人ママのレポート!!
デンマーク 「世界一幸せな国」は子育てしやすい!?(全4回更新)
Episode3 デンマークの子育てサポート制度
~とにかく子育てしやすい!その理由は…~
看護師による無料の自宅訪問サービス
看護師による自宅訪問。昔ながらの測定器で、赤ちゃんの体重を測定中。
訪問頻度は地域によって異なりますが、私が住んでいる地域では、最初の数ヶ月は1ヶ月に1回程度で、その後は2~2ヶ月半に1回程度になり、1年間で計7回の訪問があります。その後は、1歳半の訪問があって最後となります。但し、希望すれば、臨機応変に訪問頻度を増やしてくれますし、緊急の質問や相談には電話やメールでいつでも対応してくれます。
最初の1年間、私はいつも質問や相談したいことをメモしておき、看護師の自宅訪問を心待ちにしていました。問題の対処法に困っているとき、プロにアドバイスを聞けることは貴重なことでした。また、担当の看護師が責任をもって子どもの発達を見てくれているということが、大きな安心感を与えてくれました。
看護師による自宅訪問。昔ながらの測定器で、赤ちゃんの体重を測定中。
保育園スタートまでは、ママ会が強い味方
週1回のママ会。お互いの赤ちゃんの成長を見るのも楽しみの1つです。
週1回のママ会。お互いの赤ちゃんの成長を見るのも楽しみの1つです。
父親の育児参加は当たり前
デンマークでは、子持ちでもフルタイムで働く女性が大多数です。こちらの女性のパワーにはよく驚かされるのですが、そんなことができるのは、やはり周囲のサポート体制が整っているからです。産後、女性は14週間の産休を取得でき、父親は2週間の育児休暇を取得できます。これに加え、夫婦で合わせて32週間の育児休暇を取得することができます。ほとんどの父親が最初の2週間の育児休暇を取得するうえ、なかには2~6ヶ月といった長期にわたる育児休暇を取得する父親もいます。父親が育児に参加するのは当たり前で、父親がベビーカーを押したり、子どもの送り迎えをする姿は、デンマークの日常風景となっています。
子育ての経済的負担が少ない
デンマークの女性が産む子どもの数は、平均して約1.9人です。この高い出生率の背景の1つには、経済的に余裕がない家庭でも、安心して子どもを生み育てられる環境が挙げられます。出産費、医療費、小学校から大学までの教育費は、基本的に無料です。保育園・幼稚園は有料ですが、経済的余裕のない家庭には補助金が出ます。さらに、子どもがいる家庭は、四半期ごとに手当を受けることができます。手当は子どもの年齢に合わせて3種類あり、年齢が低いほど高額で、乳児手当は年額約33万円(※)にのぼります。私は何も申請していないにもかかわらず、乳児手当が口座に振り込まれていることに気がつき、ずいぶん驚いたものです。これぞ高福祉国家!と感じた瞬間でした。
子連れに優しい社会だから、子育てが楽しい
この国で子育てをしながら、ひたすら感じることは、子連れに対する周囲の視線が優しいということです。ベビーカーを押して街中を歩いたり、交通機関を利用したりしても、冷たい視線に出会うことはありません。それどころか、子どもに微笑んであやしてくれたり、母親である私にも温かい視線を送ってくれます。そんな周囲からの優しい視線は、私がデンマークで楽しく子育てできている、ささやかながら大きな理由であると思います。
(※)2014年の予定金額は年額約17600クローナ。2013年12月のレートで換算。
2014年2月7日更新
針貝有佳(はりかいゆか)
ライター/トランスレーター
1982年生まれ。東京都の高円寺出身。「世界一幸せな国」に関心をもち、早稲田大学大学院(社会科学研究科)にてデンマークの労働市場政策を研究して修士号取得。その後、デンマーク人の夫と結婚し、2009年12月よりデンマークの首都コペンハーゲン在住。2012年1月に娘の仁菜(にな)を現地で出産し、ただいま子育て真っ最中。ライターとして、ウェブや雑誌などからデンマーク情報を発信しているほか、翻訳(デンマーク語→日本語)やリサーチの仕事もしている。
地球の歩き方・コペンハーゲン特派員ブログ:http://tokuhain.arukikata.co.jp/copenhagen/