海の向こうを見渡してみれば、こんなに違う!妊娠、出産、育児事情。
各国で暮らす日本人ママのレポート!!
デンマーク 「世界一幸せな国」は子育てしやすい!?(全4回更新)
Episode4 デンマークの子育て事情
~子どももキャリアも同時に手に入れる~
子育てと仕事を両立できる環境
子どもを生むか、キャリアを追求するか、デンマークの女性がそんな選択に悩むことはありません。子どもを育てながらキャリアも同時に追求するのは当たり前で、「専業主婦」は死語となっているくらいです。近年、専業主婦を見直す動きもありますが、それでも3歳以上の子をもつママが仕事を持っていないと、専業主婦というよりは失業者として認識されてしまいます。そして、その背景には、子育てと仕事を両立しやすい環境が挙げられます。まるで、国に「これだけ子育てしながら働きやすい環境を整えているのだから、働いて税金を納めなさい!」とでも言われているかのようです。
デンマークでは、親に職がなくても、子どもを保育園に預けることができます。無職のため保育園に子どもを預けられず、専業主婦に留まらざるを得ないといった状況には陥りません。また、保育園や幼稚園の閉園時間は16時半~17時頃ですが、フルタイム労働者が保育園のお迎えのために仕事を早く切り上げても、冷たい視線を浴びることはありません。出産育児休暇を取得するのも、子どもの病気のために欠勤するのも、当然の権利として受け止められています。さらに、デンマーク人は夏に3週間以上の長期休暇を取得する権利をもっており、仕事をしながらでも子どもと一緒にゆっくり過ごす時間をもつことができます。
子どもを尊重し、子どもに配慮した社会づくり
ミュージアムで開催されている子ども用ワークショップ。
たとえ教育やしつけのためであっても、子どもに暴力を振るうことは法律で禁じられています。教師はもちろん、親であっても、子どもを叩くことは許されません。そして、それは法律で禁じられているだけでなく、人びとの考えにも深く根付いています。周囲の親子を見ていても、親が子どもを頭ごなしに怒鳴りつけている姿を見ることはありません。親の方が年上で知識や経験は豊かではあっても、親は子どもを1人の人間として尊重し、子どもの意思を優先させます。そして、親は子どもが一人前の大人に育っていくためのサポート役に徹するのです。そのせいか、デンマークでは、子どもが反抗期を迎えても、親と子が大きな対立をするケースは多くありません。
ミュージアムで開催されている子ども用ワークショップ。
エリート教育よりもバランスある人格形成を重視
高校卒業後の打ち上げ。将来の進路は、自分の意思で決定します。
高校卒業後の打ち上げ。将来の進路は、自分の意思で決定します。
2014年2月21日更新
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針貝有佳(はりかいゆか)
ライター/トランスレーター
1982年生まれ。東京都の高円寺出身。「世界一幸せな国」に関心をもち、早稲田大学大学院(社会科学研究科)にてデンマークの労働市場政策を研究して修士号取得。その後、デンマーク人の夫と結婚し、2009年12月よりデンマークの首都コペンハーゲン在住。2012年1月に娘の仁菜(にな)を現地で出産し、ただいま子育て真っ最中。ライターとして、ウェブや雑誌などからデンマーク情報を発信しているほか、翻訳(デンマーク語→日本語)やリサーチの仕事もしている。
地球の歩き方・コペンハーゲン特派員ブログ:http://tokuhain.arukikata.co.jp/copenhagen/