海の向こうを見渡してみれば、こんなに違う!妊娠、出産、育児事情。
各国で暮らす日本人ママのレポート!!
デンマーク 「世界一幸せな国」は子育てしやすい!?(全4回更新)
Episode1 デンマークの出産事情
~妊婦生活はおおらか、でも化学物質には神経質!?~
デンマークの首都コペンハーゲン。
私は「世界一幸せな国」デンマークに関心をもって研究中に、デンマーク人の夫に出会い、結婚し、移住し、いつのまにかこの国で妊娠・出産・子育てまでも体験することになりました。
デンマークの首都コペンハーゲン。
妊娠・出産は無料≒必要最低限のサービス
妊娠中に通っていた助産婦センター。
デンマークでは、担当医・助産婦・病院が連携して、妊娠から出産までのサービスを無料で提供してくれます。それは裏を返すと、無料なだけに、必要最低限のサービスしかしてくれないとも言えます。たとえば、受けられる超音波検査は、何も問題がなければ妊娠中の全期間を通じて2回のみです。私はそのサービスの薄さに愕然とし、妊娠生活は不安だらけで過ごしたのでした。もちろん、何か問題が見つかれば、必要な検査はしてくれるのですが。
検査が少ない代わりに、助産婦による胎児の心音検査や面談があります。私にとって、面談は驚きの連続でした。体重は15キロ増えても問題なし。運動になるので自転車はおすすめ。アルコールは少量ならOK。とにかく、おおらかなのです。そんな調子なので、何をしてもいいのかと思いきや…新しい服を洗濯しないで着てはダメ。香水はダメ。シャンプーも香水入りはダメ。鮭や鮪などの大きな魚は食べる量に要注意。バルト海の魚は汚染されているので食べてはダメ。化学物質に細心の注意を払っているようで、この点についてはしっかり注意されたのでした。
妊娠中に通っていた助産婦センター。
選択肢が少ない出産方法
初めて赤ちゃんに服を着せたのは夫。
出産する病院は、住んでいる地域でほぼ自動的に決まります。納得のいく病院探しはできませんが、選択の余地がないので楽といえば楽です。また、出産方法は自然分娩が主流です。その背景には、陣痛の痛みを感じることが母親としての自覚につながるという考え方があるようです。とはいっても、要望すれば、段階的に痛みを軽減する策を打ってくれます。
初めて赤ちゃんに服を着せたのは夫。
出産直後はしばらく放置…!?産後の入院は短期間。
出産直後に驚いたのは、まだ胎脂でベタベタの赤ちゃんを預かり、家族だけで分娩室に残されたことです。その後、看護師さんが焼き立てのトーストを用意して分娩室に戻って来たのは、1時間以上後のことでした。おかげで、静かな幸せに包まれた分娩室で、産まれたばかりの赤ちゃんを抱いて眠るという貴重な体験ができました。が、赤ちゃんが急変した場合は危ないな…と後になって思ったのでした。
産後の入院期間は、第1子は2泊、第2子以降は日帰りが基本ですが、必要に応じて延長されます。私の場合は早産で娘に黄疸が強く出たため、個室へ移動して1週間入院しました。そんな特別サービスもすべて無料で、なんだかんだ言っても結局は、福祉国家の有難さを感じたのでした。
2014年1月10日更新
- 1
- 2
- 3
- 4
- 次ページ Episode2 »
針貝有佳(はりかいゆか)
ライター/トランスレーター
1982年生まれ。東京都の高円寺出身。「世界一幸せな国」に関心をもち、早稲田大学大学院(社会科学研究科)にてデンマークの労働市場政策を研究して修士号取得。その後、デンマーク人の夫と結婚し、2009年12月よりデンマークの首都コペンハーゲン在住。2012年1月に娘の仁菜(にな)を現地で出産し、ただいま子育て真っ最中。ライターとして、ウェブや雑誌などからデンマーク情報を発信しているほか、翻訳(デンマーク語→日本語)やリサーチの仕事もしている。
地球の歩き方・コペンハーゲン特派員ブログ:http://tokuhain.arukikata.co.jp/copenhagen/