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小さい頃から、勉強をさせなくては、とやっきになっている親がいます。「どうしてできないの!」、「こんな点数じゃだめじゃないの!」と注意し、無理やり勉強させる場合もあるでしょうし、最初から成績がいい子には、「うちの子は頭がいい」「勉強がよくできる」と自慢し、期待し続けている親もいるでしょう。
中学や高校になると、先の進路を考えて、勉強をすることが重要だと親はますます言います。もちろん、子どもの幸せを強く願う親心があるからです。ところが思春期になった我が子が、親の心配をよそに急に勉強をしなくなり反抗する、または急に成績が落ちてきたりする。親はさらに「このままでは、将来苦労するわよ」、「どれだけあなたを思って、言ってると思うの!」と勉強を強要するでしょう。よくある風景ですね。子どもは親から虐待されているという認識はほとんどないでしょうし、親も、子どものためを思っているのですから虐待している認識はまったくありません。
しかし、こうした勉強などよい子の強要は、ときに暴力による虐待と同じような悪影響を子どもに及ぼすこともあるのです。
実際に暴力はないけれど、勉強を無理やりやらされてきて、親の期待どおりにまじめに勉強しようとしてきた子どもが、急に不登校になったり、自宅に放火する事件を起こしたり、リストカットを繰り返したりといったケースも現実にはたくさんあるのです。
これは、それまで親のいうとおりのまじめないい子を演じてきた結果なのです。私はこのようにしつけがうまくいっているかのように見えるものを「きれいな虐待」といっていますが、その危険性については、いくら声を大にして警告しても、もう社会には届かないのではないか。そういう焦燥感にかられます。
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