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ネパール 子どもの通過儀礼を重んじる(全4回更新)

Episode3 ネパールの育児事情

~子どもは宝、育児には全員参加!~

通過儀礼を重んじる

子育ては両親だけでなく、祖父母、親戚、ご近所、通りすがりの他人まで!全員参加です。母子が孤独に取り残されるようなことはまずありません。そのぶんおせっかい的なアドバイスがあれこれ飛んでくるのですが、それはそれでありがたいものです。

ネパールでは子どもが生まれ、成長するまでに健康や幸福を願う幾度かの通過儀礼を行います。民族や宗教によっても執り行う儀式や方法が異なりますが、司祭を呼んで祈祷してもらったり、お寺にお参りに行ってお祈りをし、お供えを奉納したりします。

ヒンドゥー教徒の場合、赤ちゃんの生後9日目に両手足首に聖なる糸を巻きつける「ナラヤン」という儀式を行います。この頃までに命名を決定します。我が家では夫の妹が訪ねてきてくれ、簡易的にこの儀式を済ませました。母親の私にも同様に黄色い綿糸を手首に巻きつけてくれました。

生後半年ごろには「パスニ」と呼ばれるお食い初めをします。新品の皿に並べたご飯やヨーグルト、豆のスープを口元につけるという形式的なものですが、日本の習慣とそっくりですね。このようなお祝い行事は、暦と占いによって日取りや時間が決められます。次男は儀式当日、発熱してしまったのですが、有無を言わさず強行でした。

少女がマルメロと結婚?

「イー」の儀式で寺院へ向かう母子たち。

「イー」の儀式で寺院へ向かう母子たち。

特に珍しいのが、ネワール族の仏教徒の家庭で行われる擬似結婚式「イー(ベル ビバハ)」でしょうか。これは、4歳から7歳くらいの幼女がマルメロの実と結婚し、幸せを祈願するというものです。マルメロはカリンに似た植物で、実が腐敗しにくいことから不死身の象徴。将来、伴侶が亡くなり、たとえ未亡人になったとしても、このマルメロが一生を添い遂げてくれ独り身になることがないという謂れがあります。最近では、寺院で集団結婚式の形態がとられ、色々な道具や食べ物を前に、装身具を身につけ、足を朱に染め、独特のお化粧を施した女の子たちに、お坊さんが祈祷します。盛大なものでは3日がかりで行われます。

「イー」の儀式で寺院へ向かう母子たち。

「イー」の儀式で寺院へ向かう母子たち。

子どもを取り巻く厳しい環境

共同水汲み場に水汲みにやってきた人々。タンクを並べて順番待ちをしています。

共同水汲み場に水汲みにやってきた人々。タンクを並べて順番待ちをしています。

このように子どもは神様、宝物という考えがあるにもかかわらず、子どもたちを取り巻く生活環境は決してよいとは言えません。第一に大気と水質の汚染。ネパールには乾季と雨季があり、特に雨季には気を使います。雨に濡れると大人でもすぐに喉の痛み、発熱、風邪をひいてしまいます。食中毒にもかかりやすくなります。熱や下痢で命を落としたという話もよく耳にしますので、侮れません。

共同水汲み場に水汲みにやってきた人々。タンクを並べて順番待ちをしています。

共同水汲み場に水汲みにやってきた人々。タンクを並べて順番待ちをしています。

薪を入れた籠を背負って歩く少女と母親。

薪を入れた籠を背負って歩く少女と母親。

安全で清潔な外遊びができる場所がないこと、スクールバスが交通渋滞に巻き込まれたり、デモやストの影響でしょっちゅう休校になってしまうことも、親たちの心配事です。また全国的に貧困世帯での児童労働も大きな問題となっています。インフラが整備されていない地域では、今でも小さな子どもが水汲みや薪拾い、家畜の飼い葉取りなどにかり出されています。学校に通うのも、山道を長時間歩いて登下校しなければならない子どもたちもいます。

薪を入れた籠を背負って歩く少女と母親。

薪を入れた籠を背負って歩く少女と母親。

2013年10月18日更新

プロフィール

うえのともこ

旅行→留学→結婚のステップを踏み、ネパールのカトマンズに在住。ネパール語学科留学中にパートナーと立ち上げた旅行会社にて企画、リサーチ&コーディネートする傍ら、雑誌などに執筆も行う。未整備のインフラのおかげで?自然に即したエコ生活を楽しみながら、ネパールを主婦的目線で見つめたコラムやエッセイを綴る。家族は、ネパール人の夫と、11歳と5歳の男の子。

Twitter ID:shantiweb
ブログ:ネパール子ちゃんの ナマステ旅案内♪♪

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