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ネパール 子どもの通過儀礼を重んじる(全4回更新)

Episode1 ネパールの出産事情

~カトマンドゥでの出産はサバイバル覚悟!!~

ヒンドゥー教の神様「クリシュナ神生誕祭」には、赤ちゃんクリシュナの揺りかごを揺らし、男の子を授かるよう祈願します。

ナマステ!ネパール在住ライターのうえのともこです。ヒマラヤ山脈の麓カトマンドゥに暮らし始め9年が経ちます。

小さな内陸国ですが、雪山に高原、ジャングルと多様な自然環境と珍しい動植物が見られ、さまざまな民族が暮らしています。新興著しい都市部でもインフラの未整備、医療や衛生環境はまだまだ改善の余地が残されており、決して恵まれているとはいえない環境ですが、子どもは元気に生まれ、逞しく成長しています。季節ごとのお祭りや暦の上での習慣は、とても興味深く楽しいものです。それらの回を重ねるごとに家族との絆がより深まっていくようです。

ヒンドゥー教の神様「クリシュナ神生誕祭」には、赤ちゃんクリシュナの揺りかごを揺らし、男の子を授かるよう祈願します。

初診で帝王切開宣告?

長男は日本で生まれましたが、次男の出産はカトマンドゥ市内の私立病院でした。産科で有名な総合病院で初診を受けたところ、長男を吸引分娩していることから、有無を言わさず「帝王切開になります」と宣言されました。アクティブバースの自然分娩を望んでいた私は、希望通りの出産をしてもらえる病院を探しました。数箇所を見学しましたが、妊婦やその家族でごった返すような状態のところ、暗くて冷たい印象の病院はなんだか怖い…と感じました。

ここは日本とは大きく異なり、医療設備や衛生状態は決してよいとはいえません。いざとなったら医師の決定に従いますという約束で、なるべく理想に近い自然なお産をしてもらえる女医さんのいる産科にお願いすることに。ところがここでも妊婦の破傷風の予防接種をすすめられ驚きます。「日本では必要なかった」と返すも「ここはあなたの国とは事情が違うのです」と。何が起ころうとも自己責任とすることを条件にこの予防接種はしませんでした。

出産医療費は全額自己負担。しかも前払い。

予定日を過ぎても陣痛がなかなか来ず、超音波検診では胎児は3500gを超えているとのこと。子宮口を刺激してもらったその夜、陣痛が来てタクシーで病院へ。とりあえず病室へ通されましたが、一刻も待てない状態で分娩室へ移動。家族は併設の薬局へ「出産キット」を買いに走ります。ネパールの病院では必要な薬品類や使い捨ての器具は自分で購入することになっています。そして会計で分娩費用を前払い。輸血の際に必要な血液さえも、血液バンクや同型の人を、家族や友人など付き添いの人が手配しに走るのです。咄嗟の事態におろおろしていては命を落としかねません。お金が支払えなければ診察、治療はしてもらえないという信じ難い現実があります。

産褥婦の食事事情

お食い初めの儀式にでかける母子。

私は、ほとんど分娩台に上がるや否やというタイミングでもう産声が聞こえるという、大安産のスピード出産でした。産後処置を終えて、再び病室へ。母子同室です。ネパールの病院は病院食というものは出されません。付属の食堂に注文する、または外からの差し入れという形です。食堂で用意できるものは、スパイシーなネパール料理、焼き飯に焼きそば、餃子など。塩分、油分が多いのに加えて、香辛料。授乳することを考え、帰宅して質素でいいから日本食を食べたいと、深夜に出産してから翌夕方には退院しました。通常でも1泊、帝王切開でも3泊程度と短い入院期間です。

その分家庭では産褥期を養生して過ごします。ほとんどベッドの上で過ごし、滋養をつけるためにヤギの骨のスープやギウ(澄ましバター)をたくさん食べるようにするようです。数ヶ月経ち体力を回復した頃には、ぽっちゃり体型になっているお母さんも!産後の母親も赤ちゃんも「頭は決して冷やすな!」とされていて、ニット帽を被って授乳しているのは面白いですね。

お食い初めの儀式にでかける母子。

2013年9月20日更新

プロフィール

うえのともこ

旅行→留学→結婚のステップを踏み、ネパールのカトマンズに在住。ネパール語学科留学中にパートナーと立ち上げた旅行会社にて企画、リサーチ&コーディネートする傍ら、雑誌などに執筆も行う。未整備のインフラのおかげで?自然に即したエコ生活を楽しみながら、ネパールを主婦的目線で見つめたコラムやエッセイを綴る。家族は、ネパール人の夫と、11歳と5歳の男の子。

Twitter ID:shantiweb
ブログ:ネパール子ちゃんの ナマステ旅案内♪♪

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