海の向こうを見渡してみれば、こんなに違う!妊娠、出産、育児事情。
各国で暮らす日本人ママのレポート!!
ネパール 子どもの通過儀礼を重んじる(全4回更新)
Episode2 ネパールの育児事情
~何でも早期!早ければ早いほど?~
母乳育児&おむつなし育児
「リト」パッケージには「この食品は母乳の代用になるものでなない」の記載があります。
「リト」パッケージには「この食品は母乳の代用になるものでなない」の記載があります。
農村の家族。お母さんに双子が誕生。左は双子の姉。
近年、都市部では輸入物の紙おむつも簡単に入手できますが、価格は非常に高いです。布おむつやカバーもそれほど売られていません。一般に、新生児には古着の木綿サリーで作ったおむつを使います。ベビー服は伝統的なコットン地の前身ごろが打ち合わせになった上着と、股上に余裕のあるズボン、とんがり帽子の三点セットがポピュラーです。
ネパールでは、赤ちゃんがハイハイを始める頃から、おむつなしでトイレトレーニングを始めます。ズボンだけを履かせておき、頃合を見計らってズボンを下げ、赤ちゃんを後ろから抱きかかえて屈み「スー、スー(幼児語でおしっこの意)」と声をかけて促します。これを1日に何度も行うので、排泄の自立は驚くほど早く、歩き始めて1歳を過ぎた頃には、“おまる”で自分で用を足すことができる子どもが多いのには感心させられます。
我が家は日本から持ってきた布おむつを利用し、1歳ごろから時候のいいときにはおむつなしで過ごさせました。日本と異なり床が石造りなので粗相をしても掃除は簡単ですが、乾季の水不足の時期には洗濯に苦労しましたね。
農村の家族。お母さんに双子が誕生。左は双子の姉。
早期教育まっしぐら
花輪売りの母子。
排泄の自立ができるようになると、教育熱の高まりと公共の遊び場がほとんどないことから、かなり早い段階で託児所(ナーサリーまたはプレイグループと呼ばれています)に預けます。これは英語環境に触れさせたいという目的もあるようです。
幼い子どもを持つ親たちは、子どもに制服を着せ、鉛筆を持たせ、文字を書いたりABCが言えるようにと期待します。プレスクール(幼稚園)の保育士には宿題を出して欲しいとも要望するそうです。早ければ早いほど良いという考えが浸透していて、長男が3歳半でこちらに来て、保育所を探し何軒か訪ねたときに「こんな大きくなっているのに遅すぎるわ。英語は話せるの?」と呆れに近い驚きの反応に、こちらがびっくりしたものです。
近頃では生後6ヶ月から預かる保育施設もできています。産休の制度が充実していないため働く母親は早期に職場復帰せざるを得ません。そしてほとんどのプレスクール、小学校には試験があります。学年末の試験をパスできないと留年!という厳しい世界。もちろん地方ではそのような施設は少ないので、育児、教育のスタイルは都市部と大きく隔たっています。
花輪売りの母子。
2013年10月4日更新
★次回は10月18日(金)更新。少女がマルメロの実と結婚!?次回は子どもの成長を祝う、ネパールのさまざまな儀式を紹介。
うえのともこ
旅行→留学→結婚のステップを踏み、ネパールのカトマンズに在住。ネパール語学科留学中にパートナーと立ち上げた旅行会社にて企画、リサーチ&コーディネートする傍ら、雑誌などに執筆も行う。未整備のインフラのおかげで?自然に即したエコ生活を楽しみながら、ネパールを主婦的目線で見つめたコラムやエッセイを綴る。家族は、ネパール人の夫と、11歳と5歳の男の子。
Twitter ID:shantiweb
ブログ:ネパール子ちゃんの ナマステ旅案内♪♪