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しつけと虐待について語ろう〜いま、私たちにできること〜 ご意見・ご感想はこちら
不快な感情がわいたら、その場を去ろう。自分がラクになる情報を取り入れよう
「お母さんは、無理して子どもをあやさなくていいんですよ」と言うと、多くのお母さんは、「そうはいったって、子どもを泣き止ませなくてはいけないんです! 子育ては待ったナシなんです!」と憤るでしょう。

では、どうしたらいいか。

現実のそうした場面では、子どもに危険がなければ、お母さんはまずその場を離れることです。不快な感情をそのままにして無理に子どもに接しようとすると、結局、罰を与えてしまいかねません。そして罰を与えた後で、お母さんはまたきっと自分を責めてしまうでしょう。「私はダメな親だ」と。そう思ってしまうと、虐待の負のスパイラルからは抜け出せません。

とにかく、お母さんはその場を去ること。このとき、お父さんや誰かほかの大人に助けを求めてもいいでしょう。子どもも守らなければなりませんが、お母さん自身も自分を守らなければいけない。大事なのは、『子どもとお母さんの両方を守る』ことなのです。

長期的な解決法としては、これまで話してきたことのくり返しになりますが、お母さん自身がありのままの自分自身を認めることです。自分の中にあるマイナスの感情を認め、ふまじめな自分の部分も認めてあげることです。

そして、あふれている情報から、「自分がラクになる」情報を選んで取り入れていきましょう。

今、子育て情報は二極化しています。「子どもは小さいうちが勝負です。きちんとしつけをしましょう」という早期教育的なものと、「子どもは放っておいても大丈夫。子どもが自ら学んでいく能力を信じましょう」という子ども任せ的なもの。

後者は私の持論ですから、こうした後者の情報を選んで取り入れるようにすることをオススメします。育児書や育児雑誌、メディアの情報はもちろん、先輩ママたちや親などまわりのさまざまな子育ての情報や意見がありますが、それらを取り入れるときに、「自分がラクになれる」情報かどうかを基準にしてください。

子育てにおいてのキーワードは、「お母さんはラクになっていいんだよ」なんです。

お母さんが頑張らなくても、子どもは本当にたくましく育っていきます。子どもは小さいうちはたくさんの失敗を繰り返します。もちろん大きなケガをする、誰かにケガをさせてしまうなどの取り返しがつかないことを回避するのは、親が準備すべきでしょう。

しかし、ある程度の守られたエリアのなかで、子どもはのびのびすることが大切なのです。子どもに自由に試行錯誤の機会を与えてあげると、みるみるうちにいろんなことができるようになります。そしてやがて、子どもから恩返しがきます。

私は自分の子供たちには、小さいころから、しつけをしないで育ててきました。テストで、何点をとってきても、いつもニコニコして「人間の価値は点数ではない。心だよ」と言ってきました。先回りして教えることをせず、子どもが失敗しても「気にしなくていいよ、誰だって失敗するから」と。

そうしていたら、小学校にあがった頃から、子どもはむしろ他人を思いやるようになりました。たとえば母親が台所で皿を落として割ったりすると、飛んできて「お母さん、怪我してない? 大丈夫?」と。「どうして落とすの!」なんて言いません。

親が子どもにかけてきた言葉を子どもは学び、今度は親に対してかけるようになります。親ばかりでなく、友達や他人に対しても心から言えるような人になります。

そして、与えられたことではなく、自らが目標を持ち、主体的に学んでいく強い人間に育っていきます。

今、これを読んでいるお母さん。「子どものために」という呪文を唱えるのはもうやめましょう。子どものために頑張ってしつけをする必要はないのです。自分がラクになることを大切にしてください。

そして、「虐待をなくすには?」の答えは、「お母さん、しつけをしないで」になるのです。

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