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一方、コップの水をこぼしたことを親が怒ってしまうと、子どもは「こぼすと怒られる。罰が与えられる」ことを知り、「次はこぼさないように頑張らなければいけない」と思うでしょう。これは、自分を変えていこうとしている能動的学習ではなく、あくまで、怒られるのを回避しようとしているだけ。主体性も工夫もない、みせかけの成長なのです。そしてこのとき学んでしまうのが、「失敗は許されないんだ」ということです。
「失敗を許したか」「許さなかったか」という違いは、この後の人生に大きく影響をおよぼします。許された子は、自分が肯定されていますから、自分の存在価値を認識し、自己を尊ぶ気持ち、自尊心が培われます。
許されなかった子は、自分が否定されているわけですから、自分の存在価値が認識できず、自尊心が育まれません。
自尊心が欠如した人は「自分はダメな人間だ」という気持ちを常に持っています。その気持ちを持ったまま大人になり、お母さんになると「自分みたいな人間になってはいけない」と子どものしつけにやっきになるのです。しつけにやっきになると、どうなるのか。子どもを思い通りにコントロールしようとします。これがまさに虐待の心理です。
つまり、親にコントロールされて育った子ども(失敗を許されずに怒られたり罰を与えられる=虐待を受けた子)が親になると、今度はまた同様に子どもをコントロールして育てる(虐待をする)ということになります。コントロールの手段として、恐怖を利用しているのです。“虐待の連鎖”は、残念ながら強いものであると言わざるをえません。
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