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ノルウェー 白夜とオーロラの国 (全4回更新)

Episode2 ノルウェーの子育て事情

~トイレトレーニングがのんびりのワケ~

母乳育児率は高いが、離乳は早め

スーパーの離乳食コーナー。物価の高いノルウェーにあって、離乳食と紙オムツだけは驚くほど安価。

ノルウェーでは母乳育児が推進されています。公共の場での授乳にも全く抵抗がなく、赤ちゃんに授乳するお母さんの姿をあちこちで見かけます。しかし、授乳期間はわりあい短く、多くの人が生後10ヶ月ごろには日中の授乳をストップします。これには、ノルウェーの母親の多くが、産後10ヶ月ほどで育児休暇を終えて、職場に復帰することが関係しています。母乳からミルクに切り替える人も多く、1歳を過ぎても授乳していると言うと驚かれることもあります。

離乳食は、オーツ麦や全粒粉のおかゆや、果物のピューレから始めます。手作りする家庭は少なく、おかゆはお湯を加えるだけでできる市販のフレーク状のものが主流です。離乳食初期の赤ちゃん向けには、お米を使ったものもあります。果物のピューレやその他の離乳食も、瓶詰のものが手軽に入手でき、価格も手ごろです。

開始時期は一般的に早めで、生後4ヶ月を過ぎたころから少しずつ始めることが多いようです。就寝前におかゆを食べさせると、夜中にお腹がすかず目を覚まさない、と考える人が多く、これが離乳食開始時期を早めるきっかけとなっているように感じます。

スーパーの離乳食コーナー。物価の高いノルウェーにあって、離乳食と紙オムツだけは驚くほど安価。

トイレトレーニングは夏が勝負

冬場の幼児は着ぶくれていてまるでミノムシのよう。これでは親がトイレトレーニングへの意欲を失うのも無理はない。

ノルウェーの子どものオムツ外れはとてもゆっくりです。これには、ノルウェーの厳しい冬が大きく関係しています。冬場の子どもの服装は、外遊びの際には下着の上にウールのタイツ、ウールのズボンにつなぎのジャンパーと重装備です。この状態でトイレに間に合わなかったら、着替えさせるのも大変ですし、洗濯するのも一苦労です。そのため、ノルウェーのトイレトレーニングは夏が勝負。3歳前後になるとトイレトレーニングを意識する家庭が多いようですが、その夏にうまくいかなければ、残念ながら次の夏まで持ち越しです。小学校に上がるまでに取れればよい、というのがノルウェー人の考え方なので、のんびりといつかオムツが外れる日を待ちます。

日本と比べ、保育園などでもトイレトレーニングに対してあまり積極的ではない、という印象を持ちました。私の息子はちょうど3歳の誕生日頃にトイレトレーニングに成功しましたが、進み具合に波があり失敗が続いていた時期、保育士さんに「まだ3歳なんだから、オムツに切り替えませんか?」と言われたこともありました。

これは日本の母子手帳にあたる「健康カード」。薄い紙っぺらで心もとない。

重要なのは規則正しい生活

よく遊び、よく寝る。これがノルウェーの子どもの生活の基本。雄大な大自然の中、元気に遊ぶ子供たち。

ノルウェーの子どもは早寝早起きです。就学前の子どもは20時にはベッドに入り、十分な睡眠をとります。しっかり体を動かして遊び、夜はぐっすり寝ることがとても大切だとされています。ノルウェーでは、こういった生活の基本は重要視しますが、それ以外の面では子育てに関して他人と比較することをあまりせず、それぞれが自分の子どものペースに沿ってゆっくりと子育てをしているという印象を受けます。

よく遊び、よく寝る。これがノルウェーの子どもの生活の基本。雄大な大自然の中、元気に遊ぶ子供たち。

2013年3月8日更新

プロフィール

御供理恵(みともりえ)

1975年群馬県生まれ。夫の転勤に伴い、オランダ、ルーマニア、韓国と引っ越しを重ね、2010年7月よりノルウェー・アルタ在住。日本を含む5ヵ国での妊娠経験を持ち、長女・実奈(みな、2007年生まれ)を日本で出産し、長男・憲(けん、2009年生まれ)を韓国で出産した。現在、第三子妊娠中。

難民センターでソーシャルワーカーとして働きながら、北極圏からさまざまな情報を日本に向けて発信すべく、ライターとしても活動している。

ウェブサイト:Arctic Rainbow

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