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    各国で暮らす日本人ママのレポート!!

ノルウェー 白夜とオーロラの国 (全4回更新)

Episode1 ノルウェーの出産事情

~移動は救急車、緊急時はヘリコプターで~

はじめまして。ノルウェー在住の御供理恵(みともりえ)です。 ノルウェーはヨーロッパでも最も北にある国です。私が住むアルタは、そんな北の国の中でもさらに北、北極圏の中にあります。夏は白夜、冬はオーロラが美しく、ユネスコ世界遺産に登録されたアルタの岩絵でも有名です。

夫の仕事の都合で世界中を転々としてきましたが、3年前に夫の故郷のアルタにやってきました。定住を決意したのはアルタの大自然です。のびのびと、治安面で不安なく子育てをしたい、という私たちの願いは、ここアルタで叶いました。

北の果てから、日本とはいろいろと異なる、または思いのほか共通点のある出産・子育て情報をお送りします。

妊娠・出産費用はタダ!

これは日本の母子手帳にあたる「健康カード」。薄い紙っぺらで心もとない。

ノルウェーでは、妊娠・出産に関する費用は完全に無料です。「妊娠したかも?」と思ったら、まずは薬局やスーパーで購入できる妊娠検査薬を使って自分で確認します。妊娠が確認できたら医療機関に初診の予約を入れますが、初回の検診はおおむね10週すぎくらいが目安なので、実際に医師や助産師に診てもらうまでしばらく待たなくてはなりません。

初回の検診では、血液型、風疹の抗体、HIV、肝炎などの血液検査や尿検査を行います。健康状態や家族構成、今までに妊娠や出産の経験があれば、それについても詳しく質問されます。その後の検診は、初診から32週までは4週間ごと、32週から38週までは2週ごと、それ以降は毎週となります。

妊娠・出産費用が無料であるかわりに、受けられるサービスは非常にシンプルです。超音波検査は18週頃の1回のみ。最近は3D エコーや4D エコーをウリとしたエコー専門のプライベートクリニックも増えており、そういった有料の施設を利用する妊婦さんも多いようです。

これは日本の母子手帳にあたる「健康カード」。薄い紙っぺらで心もとない。

病院まで140キロ

地方に住んでいる人はお世話になることも少なくない救急用飛行機。

ノルウェーの面積は日本とほぼ同じですが、人口はたった500万人。広い国土に散らばって住んでいるため、地方では医療サービスが充実しているとは言いがたい状況にあります。

たとえば私が住んでいる北極圏の町アルタは、ノルウェー最北に位置するフィンマルク県でもっとも人口の多い町ですが、なんと病院がありません。妊娠経過が順調であれば市内の助産院での出産を選ぶことができますが、何らかのリスクがある場合には別の都市にある病院で出産することになります。一番近い病院で140キロも離れており、移動は救急車、急を要する場合には救急用飛行機やヘリコプターを利用することになります。

地方に住んでいる人はお世話になることも少なくない救急用飛行機。

自然分娩、短い入院期間

出産に関しては、自然分娩が圧倒的多数を占めています。逆子であっても可能な限り自然分娩を試みます。最近では無痛分娩を選ぶ人も増え、全体の30%ほどで硬膜外麻酔が使用されています。

出産後は、2~5日の入院を経て自宅に戻ります。初産の場合には、1週間ほど入院して赤ちゃんの身の回りの世話や授乳に慣れてから帰宅することをすすめられることが多いようです。助産院で出産した場合にはこれより早く自宅に戻ることが多いですが、その後、助産師が自宅を訪問してくれるなどのケアがあります。

ノルウェーでの妊娠・出産は、医療費削減のために基本的な診療内容は低く抑えられていますが、妊婦さんそれぞれの必要に応じて、診察の回数や検査の内容、エコーの回数などは変わってきます。無駄を省きつつお母さんと赤ちゃんの命を守る、それがノルウェーの医療システムが目指すところです。

2013年3月1日更新

プロフィール

御供理恵(みともりえ)

1975年群馬県生まれ。夫の転勤に伴い、オランダ、ルーマニア、韓国と引っ越しを重ね、2010年7月よりノルウェー・アルタ在住。日本を含む5ヵ国での妊娠経験を持ち、長女・実奈(みな、2007年生まれ)を日本で出産し、長男・憲(けん、2009年生まれ)を韓国で出産した。現在、第三子妊娠中。

難民センターでソーシャルワーカーとして働きながら、北極圏からさまざまな情報を日本に向けて発信すべく、ライターとしても活動している。

ウェブサイト:Arctic Rainbow

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