おなかの赤ちゃん順調に育ってる?
“胎児発育曲線”でわかる「大きい・小さい」の意味!(1)
昨年、母子健康手帳が10年ぶりに大リニューアル。多くのママから寄せられた意見を元に、妊娠中の出来事や気がかりなどを書き込めるメモ欄や、赤ちゃんのうんちの色から病気をチェックするカードが付いたり……前より使いやすくなった!と評判です。
その中に、これまでになかったグラフが登場。それが「胎児発育曲線」です。これって何?どう見たらいいの? このグラフを開発した産婦人科医の篠塚憲男先生に取材敢行。グラフの見方や使い方を教わってきました。
―このグラフを一言でいうと、どういうものなんでしょうか?
おなかの赤ちゃんの成長具合がわかり、胎児やママの病気やトラブルの発見にも役立つ、画期的なツールと言えます。おなかの赤ちゃんの体重が、この2つの線の間に入っていて、週数をおうごとに大きくなっていれば、順調に育っているという目安になるのです。
―どうして順調だと言えるんですか?
このデータは、日本国内で健康な状態で生まれた赤ちゃんのデータだけで作ったものだからです。38~41週の正期産で、経膣分娩、そして2,500g~3,999gの正常体重で生まれた、異常のない赤ちゃん3,762人。この赤ちゃんたちがママのお腹にいたときの推定体重が元になっているのです。超音波での計測回数は14,159回、妊婦一人あたり妊娠中に3~4回継続して測っています。
―早産で生まれた赤ちゃんのデータは入っていないということなんですね。
早産になった新生児の中には、妊娠の経過に何らかのトラブルがあって、赤ちゃんの発育に影響が出ているケースも含まれていますから。順調な発育の指標にするためには、省いたほうがいいのです。 とはいえ、早産でも問題なく発育している子も多いので、もしそうだったとしても不安に思わないでくださいね。
―このグラフはどう見ればいいですか?
健康な状態で生まれた子どもの95.4%は、胎児時代にこの二つの線の間に入っていた。ということは、つまり、推定体重が線の間に入っていれば、健康な正常体重で生まれることが期待できる。順調に発育していると判断できるのです。
―じゃあ、私たちも妊娠したらここに体重を記していくといいんですね。
そうです。横軸が妊娠週数、縦軸が胎児の推定体重です。グラフの上の線と下の線の体重の数値は、この表でチェックを。たとえば、妊娠26週で650g、32週で1600gなら、次のように書き込んでください。
―自分の赤ちゃんの推定体重は、どうやって知ればいいですか?
妊婦健診のとき、医師から口頭で“推定○○gですね”と伝えられると思います。それをメモして覚えておきましょう。また、もらった超音波写真に「EFW」の記号があって数字が書いてあったら、それが推定体重。EFWは“Estimated fetal weight(推定胎児体重)”の略です。 計測する回数は医療施設によって異なりますが、42週までの間に3~5回ほど測るのが一般的です。発育が順調かどうかは、1回の測定では判断できません。何回か測って、体重の推移を見守ります。
―どうして、推移を見る必要があるんですか?
胎児推定体重は、実際の体重と±10%ほどの誤差が生じることがあるからです。 たとえば、超音波で2,000gと出た場合、実際には1,800gから2,200gの間なのです。
―そんなに誤差があるものなんですか!?
超音波はその性質上レントゲンなどと違って計測に誤差が生じたり、映像にゆがみが生じます。 推定体重は、超音波で頭や腹部の大きさ、大腿骨の長さを測り、それを計算式に当てはめて算出しています。胎児は小さいですから、1mm、2mmのわずかな測定差が大きく影響してしまうのです。ですから、1回の検査だけで“小さめ”だとか“大きめ”だとか断定できません。2~3回測ることで、その子の体重の傾向がつかめてくるんです。
2013年3月19日更新