HomeNewsDiaryDataStudySensesShoppingCooking
 
 
タイトル
テーマ
現役の産婦人科医が明かす、面白くって大まじめな、産む医学のお話。産む不安真っ最中の人も、いつか産もうという人も、必読のエンタ−ティメント論文です。
小川先生
小川博康
(おがわ・ひろやす)
日本医科大学卒業後、同大学産婦人科学教室入局、同大学付属病院に勤務。横浜赤十字病院副部長などを経て現在、小川クリニック副院長の職に就く。大学病院勤務中に、双胎一児死亡の死児取り出し手術、子宮内胎児交換輸血など、世界で1例しか成功していない手術の主治医。産婦人科とともに胎児診断、胎児治療を専門とする。今までに行ってきた特殊治療を、日常診療にフィードバックしたいと考えている。医学博士。
小川クリニックのページへ
 
* * *

 いま、妊娠&出産の世界が、お母さんのアメニティにばかり目を向け過ぎていないか気になります。
 おなかの赤ちゃんの成長プロセスや安全を確認する検査技術について、もう少し知って欲しいと思います。基本と最新医療をうまくミックスできたら、おなぐさみなのですが。
これが妊娠超初期症状だ
キーワードは5つ

「受精と着床」これが妊娠のスタートです。
 月に一度の排卵によって、卵巣から出た卵子と、一回の射精で放出される数億個の中のただ一つの精子が出合い、新しい生命となるのが受精です。
 そして、受精卵は約一週間で子宮の内膜に根をおろし、着床が完了します。
妊娠4週の超音波診断写真。
ナスの形をしているのが子宮。
まんなかの小さいまるが胎嚢。
*キーワード1* 精子
 オタマジャクシのような形をしており、大きさは約0.05mm程度。その頭の部分に、お父さんからの遺伝子情報がギッシリとつまっています。男の子になるY染色体と女の子になるX染色体の2種類があり、性質が多少異なります。
*キーワード2* 卵子
 お母さんの卵巣から、月に一度排卵されます。女性の持っている、卵の素となる細胞は、数百個と言われています。
*キーワード3* 受精
 射精によって膣内(ちつない)へ放たれた精子は、子宮、卵管へと進み、卵管膨大部(らんかんぼうだいぶ)へと達します。
 一方、排卵により腹腔(ふくくう)へと出た卵子は、卵管に吸い込まれて卵管膨大部へと向かいます。
 卵管膨大部に達するには、ごく一部の精子達ですが、卵子と出合うと、その精子達は協力して卵子を包む膜を破ります。しかし、膜が破れた瞬間に卵子と受精できるのは、ただ一個の精子だけです。こうして卵管膨大部で受精は成立します。
*キーワード4* 受精卵
 卵子の内に入った精子の頭の部分の核と、卵子の核が融合し、受精卵ができます。受精の成立と同時に新しい膜が卵の表面を包み、他の精子が入れなくなります。
 そして、受精卵は核分裂を繰り返しながら、卵管膨大部から卵管を逆に目指して進みます。
*キーワード5* 着床
 受精から3日間で、受精卵は子宮の入り口へ達します。そして、約7日目には子宮の内膜に着床します。
 子宮内膜は、この時期厚く肥厚し、細い血管を沢山含んだベッドのようになっています。
 受精卵は絨毛(じゅうもう)というフワフワしたヒゲのような組織を増殖させてしっかりと、子宮内膜に根をおろし、さらに細胞分裂をくり返して成長していきます。
 この絨毛から、皆さんがよく知っている妊娠反応を調べる物質「ヒト絨毛ゴナドトロビン=hCG」が分泌されます。
 月経周期が28日型の女性では、排卵は、月経開始から約14日目、着床は排卵から約7日目ですから、hCGが分泌されるのは、月経開始日から約3週間を過ぎた頃からになります。
 妊娠反応検査は、約3週半頃から陽性になる理由がおわかりになったでしょうか。
*次回は、「妊娠反応陽性でオメデトウではないのか?」です。お楽しみに。


|  Lecture 1  | Lecture 2  |
| レクチャールーム 目次へ |


Home
(c) 2001 So Da Tsu com All rights reserved.