胎児の大きさ Q&A

Q5

妊娠34週で健診を受けてきたのですが、「胎児が小さくて、妊娠32週程度の大きさ」といわれてしまいました。2週間も発育が遅れているのは、どんなことが考えられるのでしょうか。

A

これは医師の解釈の仕方が間違っています。相談文には何gだったのか書かれていないので、はっきりと言えないのですが、恐らく何も問題ないはずです。

胎児発育曲線の34週頃の数値は、次のようになっています。

上限 下限
32週 0日 1,368g 2,242g
34週 0日 1,649g 2,663g

たとえば、34週で推定体重1800gだったと仮定しましょう。「胎児発育曲線」を見てみると、下限が1649gで上限が2663g。この間に入っていますから、何の問題もない数値です。

ところが、超音波機器の機種にもよりますが、1800gだと「32週●日」と表示されることがあります。妊娠32週は下限1368g、上限2242g、この二つを足して2で割ると1805g。つまり、32週の平均値だからです。

超音波機器の表示通りに受け取ると、まるで標準より2週分小さいかのように見えてしまうのですが、この平均値はあまり意味がありません。この数字は、妊娠週数がはっきりわかっていないときに、妊娠何週に相当するか、の参考にするための表示です。胎児の発育を判断するために使うのは、不適切なのです。

次回の健診で、もう一度、胎児推定体重を測ってもらい、その数値を胎児発育曲線と比べてみましょう。

(回答/産婦人科医 篠塚憲男先生)

篠塚憲男(しのづか・のりお)先生

プロフィール

篠塚憲男(しのづか・のりお)先生

胎児医学研究所代表/医学博士/産婦人科専門医 /超音波専門医・指導医/臨床遺伝専門医
浜松医科大学卒業後、東京大学医学部、米コーネル大学留学、帝京大学産婦人科学教室講師を経て、現職。 超音波検査による胎児体重の測定法や胎児発育曲線などを開発。超音波検査機器の開発監修なども務める。
経済産業省「どこでもMY病院構想 周産期小児ネットワーク実証事業(H23−H24)」に参画。瀬戸病院(所沢市)にて、胎児の疾患の検査や出生前診断・セカンドオピニオンの外来を行う「特殊超音波外来」を担当(月・水、完全予約)。

胎児医学研究所
瀬戸病院

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