胎児の大きさ Q&A

Q3

かかりつけのクリニックで「胎児発育不全」と言われ、別の病院を紹介されて来週受診することになりました。我が子に障害があるのではないかと不安です。どんな可能性が考えられるのか、事前に知っておきたいです。

A

胎児の発育の程度が標準よりも小さい状態を、「胎児発育不全」といいます。

しかし、胎児発育不全だから、障害があるとは限りません。さまざまな検査をしても、疾患や感染症などの原因が推測できるのは約3割ほど。残りの7割は、赤ちゃんが小さいのはもって生まれた個性だと判断されます。特に、ご両親の体格が小さい場合は、子どもにもその体質が受け継がれることが多いのです。

そうでない場合の「胎児発育不全」の原因はさまざまです。胎児側の要因としては、染色体異常、心臓奇形など形態異常などがあげられます。

母体側の要因としては、妊娠高血圧症候群や糖尿病、膠原病、重症の喘息等の疾患、感染症、喫煙・アルコールの影響、切迫早産、極端なダイエットなどによる栄養不足、遺伝などがあります。これらは子宮内環境の悪化をまねき、胎児の居心地が悪くなって、発育不全を引き起こすのです。 また、胎盤や臍帯の異常も、胎児への血流に影響を与えるため、発育不全の原因になります。

通常の妊婦健診よりも精密な超音波検査を行って、胎児や子宮、胎盤、臍帯などを調べます。また、胎児の心拍数を測って(胎児心拍モニタリング)赤ちゃんが元気か確認します。母体の疾患が疑われる場合はその検査もします。 この他、母子の状態に応じてケースバイケースで検査が行われます。

今は不安ばかりが先立つと思いますが、まずはあまり心配せずに検査を受けてみてください。それで何もなければ安心だし、もし何か原因が見つかったとしたら、治療を行ったり、良いコンディションで産んであげるための対策を考えることができると、前向きに考えましょう。

(回答/産婦人科医 篠塚憲男先生)

篠塚憲男(しのづか・のりお)先生

プロフィール

篠塚憲男(しのづか・のりお)先生

胎児医学研究所代表/医学博士/産婦人科専門医 /超音波専門医・指導医/臨床遺伝専門医
浜松医科大学卒業後、東京大学医学部、米コーネル大学留学、帝京大学産婦人科学教室講師を経て、現職。 超音波検査による胎児体重の測定法や胎児発育曲線などを開発。超音波検査機器の開発監修なども務める。
経済産業省「どこでもMY病院構想 周産期小児ネットワーク実証事業(H23−H24)」に参画。瀬戸病院(所沢市)にて、胎児の疾患の検査や出生前診断・セカンドオピニオンの外来を行う「特殊超音波外来」を担当(月・水、完全予約)。

胎児医学研究所
瀬戸病院

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