尿もれ・腰痛・便秘に
フランス発! ガスケアプローチ! ~前編~

尿もれ、腰痛、便秘…。感動の妊娠・出産のウラには、様々なトラブルがつきもの(涙)。妊娠して初めて体験する、「こんなことでもれるの!?」「こんなにつらいの!?」「出ないの!?」「聞いてないよー!!」……。
こうした悩みに応える新たな方法が、フランスからやってきました! その名は“ガスケアプローチ”。創始者であるベルナデット・ド・ガスケ医師が来日している!と聞きつけ、So Da Tsu編集部Y子が会ってきました。

後編はコチラ

無意識に呼吸をしている今、この瞬間も、負担が…

―ガスケ先生、Bonjour! 今日はガスケアプローチについて色々教えてください。先生の考案されたガスケアプローチって、一体どんなものなんですか!?

ベルナデット・ド・ガスケ医師

ベルナデット・ド・ガスケ医師

Bonjour! ガスケアプローチは、姿勢と呼吸からペリネや全身に働きかけるアプローチのことです

―“ペリネ”って、何でしょう?

ペリネは、骨盤の底を形作る筋肉のことで、尿や便をこらえたり、子宮や膀胱、直腸など、骨盤内の臓器を支えたりする役割を担っています。とても負担がかかりやすく、ダメージを受けやすい部分です。妊娠中は日々重くなっていく子宮を支えなければなりません。お産で無理な力が加わって傷めてしまうこともあります。

―ペリネって、骨盤底筋のことだったんですね。それならわかります!

ペリネに負荷がかかり、弱くなっていると、ちょっとした咳やくしゃみ、走ったりする力が加わるだけでも、尿もれしてしまうのです。

実は、こうして呼吸をしている今も、私たちのペリネには負担がかかっているのですよ。

―えっ、普通に息をしているだけで!?

ニ足歩行の宿命、とでも言いましょうか……。私たちのように“垂直姿勢”が基本だと、常に重力がかかっている状態なので、臓器などの重みをペリネが一手に引き受けなければなりません。ペリネは常に重力の重さに逆らいながら、横隔膜や内臓などを上に持ち上げ続けているのです。

―寝ているとき以外、ペリネは休む暇なく働き続けているというわけですね。

そうです。ですから、できるだけペリネに負担をかけないような過ごし方をしないといけないのです。

―それは、どんな過ごし方なのでしょう?

まずは正しい姿勢と呼吸が大事。無意識で立ったり座っているときの姿勢を整え、正しい呼吸を意識することで、ペリネへの負担を少しでも減らしていきましょう。

―はい!

ペリネは、横隔膜と一緒に動きます。まっすぐ背筋を伸ばした姿勢で、横隔膜をしっかりと動かす呼吸を行いましょう。胸のあたりを動かすのではなく、お腹でゆったりと腹式呼吸をしてみましょう。

ガスケアプローチ流・呼吸の基本

まず体を一回り大きくして構え、背筋をまっすぐに、姿勢を正します。

1まず体を一回り大きくして構え、背筋をまっすぐに、姿勢を正します。

おしっこを我慢するような感じで、ペリネを締めます。

2おしっこを我慢するような感じで、ペリネを締めます。

ペリネ、腹部、胴、胸と下から上に向かって絞るようにして息を吐きます。歯磨き粉のチューブを下から丸めるようなイメージで。

3ペリネ、腹部、胴、胸と下から上に向かって絞るようにして息を吐きます。歯磨き粉のチューブを下から丸めるようなイメージで。

息を吐いたらお腹の力を抜きます。自然と空気が入るので息を吸います。またペリネを締めて、息を吐く、のくり返し。

4息を吐いたらお腹の力を抜きます。自然と空気が入るので息を吸います。またペリネを締めて、息を吐く、のくり返し。

☆編集部も挑戦☆

ベルナデット・ド・ガスケ医師

さっそくY子も体験。ところが、なかなかコツがつかめません。
するとガスケ先生から、両手を持ち上げるように言われました。こうすることで自然とお腹の中の空間が広がって、分かりやすくなります。
だんだん、ペリネを締める感覚や、お腹の力を抜いた時にストンと空気の入ってくる感じがつかめてきました。

電車の中、会社、家でリラックスしているときにも実践できそうな方法で良いな、と思いました!(Y子)

―姿勢と呼吸がとっても大事ということは、よくわかりました。他に、私たちが毎日行っていることで、ペリネにいけないことは何かありますか?

腹圧をかける動きはよくありません。手を上げただけでも、足をちょっと持ち上げただけでも、腹圧はかかります。ベッドから起き上がったときから、つまり朝起きた瞬間から、腹圧がかかり始めるのです。毎日の生活での動作ひとつひとつに気を付けていけるといいですね。

―どうしたらいいのでしょうか…?

腹圧がかかる動作をするときには、まず体を一回り大きくして構えます。おなかの下から内臓を持ち上げるイメージでペリネを締め、ゆっくり息を吐いてから、動きましょう。

たとえば、子どもを抱っこするとき、体を一回り大きくしてからペリネを締め、息を吐きながら赤ちゃんを抱えます。荷物を持ち上げるときも同じです。椅子から立ち上がるときもペリネを締め、息を吐きながら立ち上がりましょう。ペリネを締める→息を吐く→動く、を常に意識できるといいですね。

―なるほど、わかりました! 私はまだ妊娠していないのですが、毎日の生活の中に取り入れてみたいと思います。

老若男女問わず効く、ガスケアプローチ

もちろんガスケアプローチは、妊娠前の女性にも、とても良いのですよ。妊娠中・出産後のトラブル予防につながりますし、日常生活でも便秘の改善などに効果があります。

男性に子宮はありませんが(笑)、そけいヘルニアの予防に効きます。横隔膜や腹筋群をしっかり正しく働かせることは男性にもできますから。女性は臓器脱、男性は腰痛やヘルニアが予防できるのです。

産後3年、5年、10年、出産からしばらく時間が経った女性にもオススメです。

―え、そうなんですか?もう遅い…とあきらめる必要はないのですね!

えぇ。ガスケアプローチは人生のどのステージでも始められます。体内の循環を活発にする、筋力を高める、腸のぜん動運動を促す、下がってきた臓器を整える効果があります。ただ、ダメージを完璧に元に戻して問題を解決すると約束できるわけではありません。改善が期待できる、ということです。

―ウチの母にも勧めてみます!

ぜひ(笑)。

自分のペリネの筋肉で臓器を支えられるようになるのが理想ですが、補助具を使ってサポートしてあげる発想も、大切だと思っています。たとえば、『骨盤支持ベルト』。正しい立ち姿勢になるように助けてくれる道具です。こうした助けも借りながら、ぜひペリネにやさしい生活を送ってください。

ガスケ医師推奨・フランスPhysiomat社製『骨盤支持ベルト 』

ガスケ医師推奨・フランスPhysiomat社製
骨盤支持ベルト

着用例。横は脚のつけ根、前は恥骨の上、後ろは仙骨に来るように着けます。

着用例。横は脚のつけ根、前は恥骨の上、後ろは仙骨に来るように着けます。

2015年10月27日更新

ベルナデット・ド・ガスケ医師

プロフィール

ベルナデット・ド・ガスケ医師

1946年生まれ、パリ在住。医学博士、婦人泌尿器科的再訓練法有資格者、3児の母親であり、ヨガ指導者。47歳で医師となる。自らが構築した「呼吸と姿勢からのガスケアプローチ」は、バイオメカニクスの観点から様々な知恵と現代医学とを融和させ、産科領域だけでなく、人生のあらゆるステージに活用できる理論と方法論を展開している。

日本ガスケアプローチ協会

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